とお考えの方向けにこの記事を書きました。
本記事の信頼性
この記事を書くTakaは現在リース業界にて勤務。当時の就職活動は3月解禁であり、その時までリース業については恥ずかしながら一切知りませんでした。就活は様々な業界を受け、いくつか内定を頂いた先から、ビジネスが面白そうだという理由が決め手で現在のリース会社に決めました。現在はアジアを中心としたファイナンスビジネスに携わっています。
本記事ではリース業界とは何かについて書いた後、実際にリース会社で働いてみてわかるリース業界のメリット・デメリットを紹介していきたいと思います。
目次
リース会社は何をするのか
リース会社は物を貸す
リースとは、端的に言うと物を貸すこと、でありリース会社はそれについてを主たるビジネスとして経営している会社のことです。リースの意味を聞くと、こんな疑問が浮かぶと思います。
リースはレンタル、割賦と何が違うの?
これについては、かなりざっくり説明すると以下の通りです(本当は細かな専門用語があるのですが、本記事ではわかりやすい表現にしました)。
項目 | リース | レンタル | 割賦(分割払い) |
契約期間 | 物によるが、3~7年等比較的長期間 | 1週間~1ヵ月等の短期間 | 物によるが、1年~3年が多い |
物件 | 使う人が指定する | レンタル屋で貸し出している物 | お店で販売している物 |
契約期間終了後の対応 | リース会社へ返却、再度リース | レンタル屋へ返却 | 購入者の物となる |
上記の表を見ると、リースというのは物件を使う人が選べ、なおかつ長期間使用したい。という方のニーズに対応したもの。
これの何が良いかというと、一度にまとまったお金を支払わずに月額リース料という形で小さな金額をコツコツ支払うところです。
このようにすると、企業にとって月々の支払い負担が楽になるのです。
リース会社は融資も行う
リース会社の2つ目の役割は、お金を融資することです。お金を融資することは、銀行が行う業務のように思えますが、実はリース会社も同様に行っているのです。
ここで皆さんは、
融資は銀行だけが行えばそれで事足りるのではないか?
と思うはずです。
しかし、融資を受ける会社からすればリース会社からの融資も時には必要なのです。
一般的な企業は、いくつかの銀行と取引をしており
- A銀行から10億円の融資枠があり、限度額まであと1億円。
- B銀行から8億円の融資枠があり、限度額まであと3億円。
- C銀行から6億円の融資枠があり、限度額まであと2億円。
というような形で、これをたくさんの銀行と結んでいます。融資枠とは合計でいくらまで借りることができるという意味で、限度額とは、後いくらまで借りられますよ、という意味です。
企業は、リーマンショックやコロナウイルスのような危機的状況が発生した時に備え、ある程度のお金を借りようと思えばすぐに借りられる状況(限度額までお金を借りず、万が一の時に備える)にしておきます。
そのような状況で、融資枠を他の銀行以外にも増やしておきたいということでリース会社からも融資枠を設定してもらうことになります。
企業にとっては、借りられる金融機関の選択肢が増えるので資金繰り状況が良くなるわけですね。
ここで、ポイントなのが
リース会社からの融資は銀行からの融資に比べ利率が高い
ということです。利率が大きく変わりはしませんが、若干割高になります。これは、リース会社は銀行からお金を調達した後に企業に融資するからです。リース会社が融資するお金は、基をたどると銀行から調達したお金に紐づいています。
リース会社が企業に融資することを段階的にまとめると以下のステップになります。
step
1企業から融資してほしいとの依頼を受ける
企業の詳細を確認して、融資できるか検討(与信判断)する。
step
2銀行からお金を調達する
利率、期間、スキーム等の条件を決める。
step
3銀行から調達したお金に、追加で利率を加え企業へ融資する
企業へ融資実行。企業からしたら、利率は直接銀行から借りるよりかは間にリース会社が関わっているため割高だが、銀行の融資枠を減らさずに済む。
リース会社は事業も行う
全てのリース会社がそうとは限りませんが、商社がするような「事業」を展開する場合もあります(一部の大手リース会社限定)。そして、リース会社の「事業」は総合商社の金融部門が担うこととほぼ同様のことをします。あくまでも金融に密接した「事業」を行う。
「事業」とは、簡単に言うとシナジーが見込める会社へ出資したりすることでお互いwin-winの関係になりましょう!ってことです。
〇〇会社と△△会社が業務提携をすることになり、それぞれ50%ずつ出資してインドに会社を立てることを報告いたします。
なんてプレスリリースが発表されたとしたら、まさに「事業」の一例。新しく設立する会社に〇〇会社と△△会社からノウハウを豊富に持っている役員含めた社員を送ることで儲けていこうぜ!ってことなのです。
なぜこんなことをするかというと、従来のビジネスに限界があり付加価値を付けられる仕事が重要だから。
日本の大手リース会社はどこがあるの?
日本には、1,000社以上のリース会社があります。リース業界の中でも大手と言われる会社はいくつかあるのですが、ここでは4社ピックアップして簡単に紹介します。
オリックス
オリックスは財閥系でなく、独立系リース会社として業界内で確固たる地位を築いています。事業規模は業界ナンバーワンです。現在は、非常に多角的にビジネスの裾を広げており、リース以外にも
- 保険
- プロ野球の球団運営(オリックス・バファローズ)
- 水族館運営(東京スカイツリーにある「すみだ水族館」もオリックスの事業の一つ)
- レンタカー
等のビジネスにも進出しております。
三井住友ファイナンス&リース(SMFL)
三井住友ファイナンス&リースは、2020年5月現在、三井住友フィナンシャルグループと住友商事がそれぞれ50%出資している会社です。SMFLのホームページを参照すると、SMFLの事業で特徴あるものは
- 燃料電池自動車に必要な水素を供給する移動式水素ステーションのリース
- 地方創世の一環としての、宿泊施設のリノベーション(改築)や設備更新
です。また、2020年4月21日付けの日本経済新聞記事では
三井住友FL、食品ゴミ発電を支援 設備一式をリース
三井住友ファイナンス&リースは、食品廃棄物を燃料源としたバイオガス発電の支援事業に参入する。メタンガスを取り出す発酵槽や発電機などの主要設備一式を発電事業者に丸ごとリースする。・・・(以下、省略)
という記事もあり、環境に配慮した取り組みを積極的に行っていることがわかります。
三菱UFJリース(MUL)
SMFLは住友系に属していますが、MULは三菱系の会社です。株主に三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱商事が挙げられます。出資比率はそれぞれ13.51%、20.12%です(2019年3月31日時点)。MULの事業で代表的なものは、
- 2019年4月に再生医療ベンチャーのサイヒューズ社へ出資
- 2020年3月にオートリース業界大手である仏ALD社とマレーシアにオートリース会社を設立予定(2020年半ば目途)
が挙げられます。
東京センチュリー
東京センチュリーはオリックスと同様に財閥系ではありませんが、伊藤忠商事が25.82%出資しており、伊藤忠商事の持分法適用会社となっています(2020年3月31日時点)。もともとは東京センチュリー・リースという会社名だったのですが、2016年よりリースに依存しないビジネスを行うという意味合いも込め社名からリースという言葉を外しました。東京センチュリーについては
- ニッポンレンタカーを子会社に持つ
- 米航空機リース会社のアビエーションキャピタルグループ(ACG)を2019年12月に完全子会社化
- 2020年2月、NTTと業務提携することを発表し、共同で会社設立予定
が最近のトピックとして挙げられます。東京センチュリーは航空機事業に特に力を入れていることがわかります。
リース業界の魅力的なところ
金融業の中で事業を幅広く展開しているところ
これは先ほども述べましたが、近年のリース会社には特に当てはまること。
単にリースをするだけでは、他の競合他社と顧客の取り合いになり、そうすると価格競争が行われ案件を仮に取れたとしても低い収益性の案件となってしまいます。
そのような事態を回避するため、各社は強みを生かしながら新しいビジネスを創出しようとしています。
リース会社には、銀行法によってある会社に5%程しか出資できないということもありません。
そのため、出資先の会社の過半数を取って子会社にし、役員等を派遣して事業を広げていくというやり方もとることができるのです。
リース会社はリースしかしていないと思われがちですが、実は環境、ホテル、地方創世、レンタカー、航空機、海外進出支援等の多種多様なビジネスを行っているのです。
さらに言うと、海外に展開している事業に携われば、海外勤務というチャンスにも近づけますよ。
他の金融業界に比べ、ホワイトでそこそこの給与水準
基本的に、ハードな営業はしない部署がほとんどだと思います。
某メガバンクに勤めている友人は12時間以上働くこともあると豪語していましたが、そんなことは私は一回も経験したことありません。
給与水準はオープンワークに登録して見てみると、そこで詳しく分かります。
銀行や保険業に比較すると劣るが、それでも一般の他業種に比べれば給料をもらっている方だと上司に言われますが本当です。
余談ですが、好きなYouTubeチャンネルに「年収チャンネル」というチャンネルがあり、MULの回は地味に参考になりますので見てみてください笑。
リース業界は勤務時間に対しての給与という意味で、コストパフォーマンスが良いということが分かります。
金融知識を身につけられること
これは、金融業界全般的に言えるかもしれません。
リース業界でもそれを学べますし、私は非常に良い所だと感じています。
例えばリース案件を受け持つ際には、物件をリースする際はその相手先がきちんとお金を支払うことができるのか、について徹底的に調べないといけません。
そのため嫌でも財務諸表を見たり、社内で承認をとるために資料作成することがあります。
業務を通じて金融リテラシーが高くなると、私生活でも仕事で学んだ会社の財務状況を理解する能力を活かして株を始めよう、等と考えてみたくなるものです。
リース業界のオススメしないところ
所詮はお金を貸すだけ
先ほどのリース業界の魅力的なところで、事業を幅広く行っていると書きました。
それの裏返しになってしまうのですが、たとえ幅広い事業を行えたとしても金融だけで完結することはできません。
リース会社自体は物を製造しているわけでも独自性を持つITシステムを持っているわけでもないからです。
そのため、何か事業を行う上では
メーカと組んだり、フィンテック会社と組んで新しい顧客にもファイナンスを行おう。提携先とリース会社どちらにもwin-winとなるようなビジネスをしよう
という形でないとリース会社は新しいビジネスに関わりづらいです。
私はビジネスアイデアとして、
自由なメモ
日系大手アミューズメントパーク運営会社と新しい合弁会社をアジアの国に作り、アジアへの店舗拡大支援をすることはどうか
と考えました。合弁会社にして弊社も出資したいと思いついたのは、出資比率がある程度高くなると、利益の分配を受けられるからです。弊社側は、その会社を通じて新しい店舗への設備投資のリース、資金を提供する形にしたら良いのでは。
なんて考えていました。
それについて上司に相談したら、上司はキッパリと私にこう言いました。
ココがダメ
そのアイデアって、弊社は別にいらないんじゃないの?ラウンドワン自体が資金調達して設備投資としてリース会社へ借り入れを申し込めばそれで済むんじゃないのか?
という形で見事没になってしまいました。
役員のような上の役職を目指すことは大変
リース業界は、財閥系である会社が多いです。
そのような会社は銀行、商社によってかなりの出資比率を占められているケースが実在。
そうすると社長や役員、並びに部長級の方は銀行、商社出身の人になることが多いです。
一方、独立系であれば、そのようなことは少なく感じられます。
そのため、絶対に私は社長になるんだ、という夢がある方は、リース会社へ就職することはオススメできません。
年功序列なところがある
これは、他の日系企業にも言えることですが、若手は雑用業務を行うことがどうしても出てきます。
社内用の稟議書作成、社内外からの電話対応、会議の議事録等といったことは一年目がやる雰囲気が強め。
また、給与はそこそこ良いという話をしましたが、基本的にある程度の年次までは一律で上昇していくみたいで人によっての差はあまりないです。
まとめ
本記事では、
- リースとは何か、リース会社は何をしているのか
- 大手リース会社の紹介
- リース業界の魅力的な所
- リース業界のおすすめしないところ
について、赤裸々に書きました。
リース業界の会社は、各社年々業務の多角化を目指しており、中には
リース業の括りとして考えるべきでない
と世の中の人に思われているような会社もあり、事業に特色を出しつつある魅力的な業界です。
最後に、本記事が皆様の就職先を考えるうえで一つのご参考になれば幸いです。
読んでいただきありがとうございました!